フレームビルダーの工房

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素材の体温を感じ、ライダーのこだわりに応える。 自転車乗りなら誰しもが一度はあこがれるオリジナルフレーム。自分にベストフィットする、世界に一台の自転車。そんなあこがれを実現してくれるのが、フレームビルダーです。バイシクルわたなべのフレームビルダー前澤智彦が、フレームづくりのポイントをご紹介します

パイプのカッティングが最重要

フレームをつくる上で最も重要なのは、パイプのカッティングです。ここでつまづいたら、どうにもなりません。パイプは丸みを帯びていますから、それに合わせて切断していきます。合っていないとズレの原因になりますし、パイプの切断面は非常に大きな意味を持っています。一番神経を使うところと言っても過言ではないですね。完成フレームを正面から見たときにフロントフォークと重なるように真っ直ぐにならないばかりか、いくら溶接がうまくいったとしても、強度に欠ける部分が出てきてしまいます。

素材の汗が見える。経験が物をいう溶接技術

カッティング後、パイプをつなぎ合わせていくわけですが、「溶接」は特に経験が物をいうところですね 。アルミやクロモリなどそれぞれの素材の特性を知っていることはもちろん、パイプの厚さはどれも同じではありませんから、同じ素材でも火の入れ方には微妙な加減が必要とされます。修業時代は、熱しすぎてよくパイプを焼き切ってしまったものです。すごく感覚的な表現になってしまいますが、経験を積むうちに、「素材の汗」が見えるようになってくるんですね。実際に素材が汗をかくわけではありませんが、色や熱の広がり具合で、素材の状態がわかってきます。焼き切らない程度に、素材が温まった状態をキープする。火の入れ具合をコントロールすることが技術、技と言えるところだと思います。

加えて溶接のポイントになるのが、冷えたときの収縮をどれだけ計算できるかです。どの素材も熱を加えれば膨張し、冷えれば収縮します。それを見越していないと、ズレが生じてしまいます。パイプの厚さや素材の特性でその見極めも変わってきますから、一筋縄ではいきません。火の入れ具合と同様に経験則がないと、なかなか難しいですね。

ここで少し素材についても触れたいと思います。自転車の乗り味は、素材に左右されるところも大きいですからね。私が好きなのは、タンゲの「プレステージ」。今はもうないのですが、乗ったときの“ねばり”が違います。とても強固であるにもかかわらず、しなりのような柔軟性を感じます。今オススメなのは、日本のカイセイと、イタリアのコロンバスというメーカーのパイプです。どちらも“ねばり”のある、いいパイプだと思います。



乗り心地を楽しんでもらえるフレームを

バイシクルわたなべではフレーム製作の依頼をいただいた後、フレームビルダーが直接ご要望をお聞きして製作に取り掛かります。製作にあたって心掛けているのは、お客様のオーダー、理想の走りを意識しつつ、それをフレームに注ぎ込んでいくこと。体型に合っていることはもちろん、乗り味を楽しんでいただけるフレームを生み出したいと考えています。あこがれの一台の実現に、私の持ちうる知識や技術、そして経験を役立てていただきたいと思いますので、ぜひ理想のフレームのお話をお聞かせください。

前澤智彦プロフィール

小学生のころから自転車をいじるのが好きで、自転車の世界に。大阪のフレーム製作会社で約3年間修業し、その後さまざまな経験を積み、現在はバイシクルわたなべのフレームビルダーとしてライダーの要望に応えるフレームをつくり続けている。

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